イタリア

 ユネスコの世界遺産にも登録されているチンクエ・テッレは、「Cinque(5つ)」「Terre(村)」から分かるように、文字通り5つの小さな村が寄り添うように連なる、リグーリア州南部の海岸線の地域です。今日でもそれら5つの村は車で入ることはできず、トンネルを掘って線路を引いた列車で行くか、船で往来することしかできない村もあります。

 11世紀に要塞都市として建設され、人の侵入を拒むかのような切り立った断崖絶壁は、自然の要塞としては好都合でしたが、平地はなく土壌も痩せているこの地で生活することは容易ではありませんでした。
人々が知恵を絞り、急斜面の固い岩盤を砕いては石垣を築き、畑を拓き、この不毛の土地になんとか根付いてくれた作物こそがブドウだったのです。岩盤ばかりの痩せた土壌では、そのブドウですらあまり多くの実は付けません。しかし、その結果、根は少ない水分や養分を求め地深く潜り、多くの実をつけない分一粒一粒は非常に凝縮したものになります。岩壁から吹き上がる潮風にも晒されるこのブドウから造られるこのワインは、どこか磯の香り(ヨード香)もする味わい深いワインに仕上がります。